第34回 戦前からの伝統・熊本工に迫るか九州学院と秀岳館に鎮西、城北(熊本県)2016年11月20日

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【目次】
[1]熊本工を中心としていた熊本県の高校野球
[2]熊本県で私立校が全国に登場したのは?

 強烈な印象を残したのが今春選抜秀岳館だった。結局、準決勝で敗退したのだが、鋭いスイングからの強烈な打球を放つ打線は、力強かった。就任3年目となった鍛治舎 巧監督が、「3年後に甲子園」と誘った選手たちと挑んだ3年目だった。かつて、八代第一時代には松中 信彦(新日鐵君津→ダイエー・ソフトバンク)なども輩出しているが、甲子園には届かなかった。秀岳館に校名変更して、01年夏に初出場を果たし、03年春にも甲子園出場を果たしたが、その時代とはユニフォームも変更して、新しいチームという印象だった。

 この力強さに、これまでの熊本代表とは異なるものを感じさせられた。と同時に、熊本の勢力構図も変わっていくのだろうかと思わせた。

熊本工を中心としていた熊本の勢力構図

熊本工

 これまでの熊本県は、何と言っても、「打撃の神様」として世の野球ファンに対して自らを神格化してしまった上に、監督としては読売ジャイアンツの9連覇時代の監督でもあった川上 哲治御大を輩出している熊本工が中心だった。戦前戦後を通して、たえず県内の強豪であり続けているということもすごい。

 創立は古く、1898(明治31年)年に県立工業として創立という歴史がある。野球部は1932(昭和7年)年に初出場を果たし、以来コンスタントに甲子園に顔を見せている。初出場から2年後の34年に決勝進出を果たすが、打撃の神様はこの時すでに2年生としてメンバーに入っていて試合に出ていたというのだからさすがだ。中等野球の2年生だから、現在の中学2年生に相当すると思えば、その素質の高さというかセンスの素晴らしさが伺えるであろう。そして最上級生となった37年には伝説の吉原 正喜捕手とバッテリーを組んで決勝進出。当時無敵の中京商(現中京大中京)に破れるが、その質の高さは今も語り継がれているくらいである。

 ただ、そんなに強い熊本工だが、ついぞ甲子園では優勝経験のないまま21世紀を迎えた。その熊本工がもっとも優勝旗に近づいたのも、20年前となってしまった。96(平成8)年夏松山商との決勝戦は、2対3とリードされた熊本工が9回二死から1年生の澤村 幸明が起死回生の同点本塁打を放つ。延長に入って10回裏、一死満塁で三番本多の大きなライト飛球は犠飛で、熊本工悲願の初優勝かと思った瞬間、右翼手からの矢のような送球で三塁走者は本塁憤死。気落ちした熊本工は延長11回に3点を失い、結局準優勝となった。深紅の大優勝旗の柄にまで触れながらも、ついに手繰り寄せきれなかったが球史に残る名勝負だった。

 伝統と歴史の重さを背負う、県内屈指の古豪だが全国優勝への道は果てしなく厳しいようだ。とはいえ、21世紀になっても熊本県の歴史は熊本工が中心となって作っていくということは変わりない。07年春にもベスト4に進出している。

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熊本工 【高校別データ】
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済々黌 【高校別データ】
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