Column

乙訓(京都)「マネージャーも含めてチームやで!強豪公立校を支える6人の女子マネ」

2018.01.12

 京都の公立校ながら、私立に引けを取らない実力を有し、この秋には京都府の頂点に立ち、近畿大会でもベスト4に入った乙訓。21世紀枠の京都府推薦校に選ばれるなど、さらなる躍進に期待がかかる同校だが、公立校の強さを支えるマネージャーは、どのような活動に励んでいるのでしょうか。

応援も選手と一緒に全力で!

 現在在籍する75名の部員を支えるのは、
中筋 こころさん(2年)
藤本 悠衣花さん(2年)
大橋 奈々さん(2年)
芦田 瑠妃愛さん(1年)
中林 沙也香さん(1年)
吉村 紀乃さん(1年)
以上6人の女子マネージャーだ。

 彼女らが取り組むのは、ボールの手入れ、ノックのボール渡しといった練習のサポートに、補食のおにぎり作りなどのサポートがメインだ。また、練習終わりには、日誌を提出するという独自のルーティンもある。日誌ではその日の練習内容や自分が感じたことを書き留めていく。
普段から「選手が練習しやすい環境を作ること」を心掛けて、日々、選手を助けている彼女らは、毎日のほとんどの時間を選手たちとともに過ごしているので、「部員のにおいがわかる」ほど。
ちなみに、アンダーシャツを着替えるときに覗く筋肉が、胸キュンポイントだという。

 乙訓マネージャーにとって、一番楽しい時間は、「試合の応援」だ。応援は選手が主導となって応援するが、選手の提案で、マネージャーが主導となって応援することも。
「みんなで団結して声を出すのが楽しいですし、また応援してくれる方々からも『頑張って声を出しているね』といわれることもあり、嬉しかったです」と中筋さんはいう。

 下級生にとって、「心の支え」であった3年生たちは、夏に引退の時を迎えた。最後の試合は、7月11日にわかさスタジアム京都で行われた東山戦だ。この試合はマネージャーにとって思い出の一戦になった。「点差が開いても、最後まで諦めない3年生の姿がかっこ良かった」と彼女らは言う。劣勢に立たされても、懸命に最後の一球まで戦う姿は、間違いなく、マネージャーに限らず、下級生選手の心も動かしただろう。

 そして新体制となり、2年生が軸となった新チームが、旋風を巻き起こす。
1次戦を3試合35得点・無失点の圧倒ぶりで突破すると、2次戦も順調に勝ち進んで迎えた、わかさスタジアム京都での準決勝・立命館宇治戦。ここで勝てば近畿大会出場が決定する大一番だ。


近畿大会準々決勝の智弁学園では3ランで先制。マネージャー興奮の瞬間だった。

 マネージャーも団結して鼓舞し、これを2対0で制した乙訓は、見事近畿大会出場を決め、さらに決勝戦でも勝利を収め、京都で優勝。加えて近畿大会でも、神港学園智辯学園を下してベスト4に入るという素晴らしい結果を残すに至った。記録員としてベンチ入りしていた中筋さんは、「近畿大会は、京都府大会と違って、見える風景が違っていて、本当に緊張しましたが、みんなが頑張っている姿を見て落ち着くことができました。一番印象に残っているのは、準々決勝の智辯学園。3ランで先制したんですけど、あの瞬間、嬉しくて、興奮して大きな声を出しちゃいました(笑)」

 さらなる飛躍を狙う部員達に向けて、マネージャーから一言。
「みんな、本当に人間的に成長して、別人になったと思います。これからも一緒にがんばろう!」

 次のページでは、2年生マネージャーの中筋さんに自身のマネージャー業について詳しくお話いただきました。

[page_break:マネージャーも含めてチームやで…。心引き締まる言葉]

マネージャーも含めてチームやで…。心引き締まる言葉


ボール磨きも大事な仕事

 乙訓マネージャーの1人、中筋 こころさん(2年)は、中学時代は家庭科部。
文化部で過ごした3年間だったが、高校入学を機に、新しい分野への挑戦を決意。 中筋さんの母が京都の府立校でマネージャーを務めており、「もともと野球が好きで、お母さんから当時のことを話してくれて、自然とマネージャーになりたい気持ちになっていました」と、乙訓入学後、野球部のマネージャーとして新たなスタートを切った。

 新たなステップを踏み出した。もちろん、今までは平坦な歩みではなかったし、これからも楽な道のりではないだろう。
「仕事でミスをしてしまった時、部員から厳しい言葉をかけられた時は、挫折しそうになったこともある」と振り返る中筋さん。それでも、やり続けてきた。

 つらいこともある毎日だが、入部当初に同級生の部員からかけられた「ある言葉」が、中筋さんにとって、今でも励みになっている。
『マネージャーも含めてチームやで』…。こう言われたのだ。
「この言葉を思い出す度、心が引き締まりますね」と中筋さんは言う。
言葉といえば、部員からの「ありがとう」の言葉も、日々の励みだ。
何気ない一言でも、人を動かす力になるのだ。

 チームをより改善に導くため、部員や、マネージャー同士での意見交換も日常となり、「自分の考えや意見を明確に言えるようになった」と自分自身の変化を振り返る。
「マネージャーになっていなかったら、自分の意見が言えず、弱い自分のままだったと思います」と想像する中筋さん。今では多くの選手に頼られ、選手のユニフォームのほつれなどを直すことも。「中学の時に家庭部だったので、裁縫ができるんですよね。今になって、家庭部でやってきたことが生きています」と胸を張る。

 マネージャーはどんな存在か―そう問うと、「お母さんのような存在」だという答えが返ってきた。
「常にチームのことを考えて、部員一人一人に寄り添えるマネージャーになりたい」…。
残り1年間の高校野球生活、彼女はそのような存在になれるだろう。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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