Column

大手前(大阪)マネージャーはチームの大きな戦力!

2017.10.20

マネージャーだからこそできるチームに欠かせない「分析」

大手前マネージャーのみなさん

 大阪府を代表する進学校として注目される大手前。部員数24名の大手前高校野球部を支えるのが村田 七海さん(2年)、福田 愛莉さん(2年)、児玉 明日香さん(1年)、長縄 菜美さん(1年)の4名の女子マネージャー。ドリンクの準備やノック補助、プレーの動画撮影、そして経理やOB・トレーナー・保護者との連絡もマネージャーが行っていることもあるそう。

 大手前高校の野球部ではマネージャーが記録しているスコアから相手打者の傾向を読み取り、それを監督に伝えている。マネージャーも選手、監督と共に戦っているのだ。「スコアから相手打者を分析することは他の高校のマネージャーに負けていないと思います!」。スコアから分析してそれを伝えるということは簡単なことではない。この分析はチームにとってもプラスの戦力になっている。

 やりがいを感じるときを伺うと、選手や監督に仕事を頼まれるときだと教えてくれた。「仕事を頼まれるということは、マネージャーとして認められている気がするからです。頑張ろうと思います」。林主将もマネージャーに対して「野球は9人のスポーツではないと改めて思わせてくれる存在です。マネージャーがいないと野球はできていません」と感謝の思いを伝えた。

 マネージャーとして何を心がけているのか。それは「選手第一」ということだった。選手をよく見て、選手のために何をするべきかを考え仕事をしている。そんな中、一番楽しい時間は?との問いに、「試合に勝って選手が喜んでいるときです。厳しい練習をし、努力を重ね、野球に真剣に向き合っている選手の努力が実った瞬間だと思うからです」とやはり「選手第一」の気持ちが常に心にあることを象徴しているエピソードだ。

 印象に残っている試合は夏の大阪桐蔭との初戦。1対13で敗れたが春日本一のチームと戦う雰囲気は良く、3年生全員が試合に出場。当時、主将だった二ノ丸秀介選手の本塁打に、村田 七海さんは「涙が溢れ出た」と振り返る。それぐらいこの試合は、彼女たちにとって大きく心に残っている。
「チームが全力を尽くして戦ったあの試合は、今でも思い出すと泣きそうになるほど大切な思い出です」

 大手前ナインは、秋にも再び大阪桐蔭と再戦、6回コールド負けを喫したが、3回まで0対0の接戦。課題と収穫を残した試合となった。大手前ナインは、打倒・私学を目指し、週4回のトレーニングに取り組む。そんな選手たちに、マネージャーはこうエールを送った。

 「厳しい練習から逃げずに取り組んでいる選手のみんなを私たちはとても尊敬しています。今から始まる冬の地獄の練習を乗り越えて、春にさらに強くなったみんなを見られることを楽しみにしています。頑張ろう!!!」

 歯を食いしばって取り組む選手たちとともにマネージャーたちも勝利へ向けて、サポートする。

[page_break:先輩マネージャーの姿に憧れたのがきっかけ]

先輩マネージャーの姿に憧れたのがきっかけ

トレーニングルームの様子

 2年生の村田 七海マネージャーは3歳上のお兄さんが大手前高校野球部の部員だった。そのお兄さんの学年には1人マネージャーがいた。最後の夏の大会で大手前が負けてしまった後、そのマネージャーはつらいはずなのにテキパキと行動し、保護者の方にも笑顔で対応していた。「その姿を見たときに感動し、憧れました」と話す。またチームの仲の良さにも惹かれ、大手前マネージャーになることを決意した。

 目標はそのお兄さんの代の先輩マネージャーのようになること。そのマネージャーは多くの人が認める素晴らしいマネージャーだった。「だから私もそのマネージャーさんのように、引退、卒業した後も仕事ぶりが認められるほど仕事をこなすことができ、誰からも愛され、チームに貢献できるマネージャーになりたいです」。

 マネージャーという活動を通じ、自分で考えて行動する能力が養われたと村田さん。マネージャーの難しさと醍醐味を聞くと、「マネージャーの仕事にはマニュアルがありません。だから周りを見てメニューやこの後の流れを確認して、やるべきことの順序を考えて動かなければなりません」と話す。

 ほぼ毎日活動する硬式野球部。大変なこともあるが、その分全力で打ち込むことができている。「マネージャーをしていなかったら、今のように充実した生活は送っていなかったと思います。マネージャーになってよかったと心から思っています」。マネージャーをすることで、確実に村田さんは成長を実感している。周りのマネージャーと比較して悩むこともあるというが、「自分なりにできることをやろう」と頑張っている日々を送っている。

「マネージャーは実際にプレーしているわけではないのに、いつも輝いているように映ります」と語るのが、エース・4番・主将の3役を務める林真也主将。厚い信頼を寄せる大手前の選手、マネージャーたち。日々、助け合いながら歩む毎日は、大手前ナインにとって大きな宝物となっている。

 大手前高校野球部、そしてマネージャーの皆様、ありがとうございました!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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