Column

地元の希望の光!地域密着型チーム、梼原野球部を支えるマネージャー!

2017.10.06

地元の希望を背負った夏は大切な記憶

 「雲の上の町」のキャッチフレーズを持つ、高知県梼原町。過疎化に苦しむこの町に、この夏、大きな希望を与えたのが、梼原高校の野球部だ。町民たちとも密接なつながりを持ち、地域活動などにも参加するこのチームは、99回選手権高知大会を破竹の勢いで決勝まで駆け上がり、「打倒」を掲げた明徳義塾に肉薄。残念ながら敗れたものの、彼らには惜しみない賛辞が贈られた。

 さてそんな梼原のマネージャーは現在、2年生の大野 真那さん、武内 柚樹さん、1年生の田村 紅葉さん、溝渕 紬さんの4名だ。具体的な日々の活動を挙げてもらったところ、飲み物づくり、米炊きに配膳といった昼食の準備、ダッシュなどの笛吹きとタイム測定、ボール渡しに道具の管理、そして接客に至るまで多種多様。広い範囲に渡ってチームのサポートを行っている。

 中でも特徴的な活動は、梼原は寮生が多いため(前チームでは部員約50人中で約40人)、マネージャーが弁当屋さんへの注文・支払いまですべて行うのだとか。冬は積雪が多く、マネージャーも雪かきに参加。また寒い季節はドラム缶で火を焚くので、そこに木などが落ちないように、火の当番をしたりもするそう。幅広い業務にはスマートフォンが必須。前述のお弁当注文やタイム計測、指導者との連絡に利用する。高校野球でも現代的チーム管理だ。

 マネージャーが選手をサポートする際に心がけていることは、「笑顔・気配り・次を考えて行動すること」そして、「厳しさもありつつ優しさもある」ということ。選手たちにとっては、笑顔で癒してくれ、先回りした行動で支え、時には厳しさで上へと導いてくれる、そんな存在である。

 そんな彼女らは、部員や保護者達からありがとうと言われた時、また対外試合の際、他校の監督に褒めてもらえたときに、やりがいやうれしさを感じるという。

 ちなみに、思わず選手に胸キュンする瞬間は、「試合やノックで必死にボールを追いかけている姿」、「重い荷物を持っているとき、さりげなく手伝ってくれる瞬間」だという。気配りをする側のマネージャーが、逆に気遣いをしてもらったときは、心に来るものがあるのだろう。

 マネージャーたちにとって特に思い出に残っているのは、今年の7月26日に行われた選手権高知大会決勝、明徳義塾戦だ(試合レポート)。地元の想いを背に、チームとスタンドが一丸となって強豪に立ち向かったあの日。スタンドでマネージャーも大声を出して応援し、歌い、チームが一つになるのを実感した時間になった。

 その時に共に戦った3年生たちは、マネージャーにとって、あこがれや目標であり、尊敬の対象であり、そしてお兄ちゃん・お姉ちゃんのような、親近感の持てる存在であった。3年生たちがあと一歩のところで成し遂げられなかった夢は、後輩たちが叶えていく。

 そしてマネージャ―から選手たちへ一言!

甲子園目指して頑張ろう!

[page_break:中学生時代に見た試合をきっかけに…?]

中学生時代に見た試合をきっかけに…?

 2年生マネージャーの武内 柚樹さんは、中学時代は書道部に所属。なぜ高校からは野球部になったのかと伺うと、幼いころから兄の影響で野球が好きだったそう。決定打となったのは中学3年生のとき。梼原高校の野球を見て「ここでマネージャーをしよう」と決意したという。

 そうして現在の生活となった武内さん。この毎日の活動を通じ、「人の気持ちを考えるようになり、視野が広くなりました。コミュニケーション能力も身についてきました」という成長を実感。もしマネージャーをやっていなかったら、「きっと今ほど、人と話すことができていなかっただろう」と武内さんは想像する。また、「マネージャーをやっていなかったら梼原にいないと思う」といい、今の生活では自分の身の回りのことをきちんとしなければいけないが、梼原にいなければ、そういうこともできない自分になっていただろう、と語っている。

 監督はマネージャーに対しても、チームの一員としての指導を施す。「次の次を考えて行動しなさい」、そして「マネージャーは監督、部長の次にえらくなければいけない」という言葉は日々教えられているという。その言葉を頭に置き、心に刻み、マネージャーは日々邁進している。

 武内さんは、「たくさん失敗し、たくさん怒られて、自分がまだまだだと感じた」そんな挫折の経験もあったという。それでも目指すところは、部員に信頼され、必要とされるマネージャー。そして、監督に認められることだ。憧れた梼原のマネージャーになって1年半。挫折しても折れることなく、選手たちとともに、日々強くなってもらいたい。

 梼原高等学校野球部の皆さん、ありがとうございました!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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