Column

「選手を想い、選手に捧げる」都立杉並高等学校

2017.05.26

 東京都杉並区にある都立杉並。都心ながら充実したグラウンドで日々練習に励む選手を支える5人の女子マネージャーにお話しを伺った。

「試合に勝った時は何よりもうれしい」

 都立杉並の選手35人を支えるのは3年生の野中 来夏さん、神山 響さん、1年生の北原 花奈さん、中村 ルミさん、加藤 茉紘さん5人の女子マネージャー。普段はドリンクの準備やボール渡し、タイマーなど練習中のサポート全般と試合の際にはアナウンス、スコアの記入を行っている。また今年から大会公式記録の確認も仕事の1つとなった。更に都立杉並は毎週火曜日の朝には地域清掃を全員で行っているという。

 5人のマネージャーは選手が野球に集中できる環境づくりを心がけ、分け隔てなく選手に接し選手全員の様子を把握するように努めているという。練習中にはトスバッティングのトスを上げることもあるようで、その瞬間はとても楽しく、選手とのコミュニケーションの時間になると笑顔で話してくれた。

「試合に勝ったときは何よりも嬉しくやりがいを感じます。」マネージャーたちも選手と共に戦っている。今春の都大会予選ブロック決勝戦で都立国立に勝利し、都大会出場を決めた試合は忘れられないという。「投打がかみ合い、みんなの本領が発揮されました!」近くで選手たちの努力を見ているマネージャーたちは誇らしげだった。

 選手たちは献身的なサポートに感謝している。「試合のときはスコアを送ってくれたり、ケガをしたらすぐに処置をしてくれる。いつも陰で支えてもらっています。色々なことを犠牲にして僕たちと同じ日程で頑張ってくれてくれていることに感謝しています。」潮見尚樹主将は普段は伝えることのできない気持ちを真っ直ぐに話してくれた。

 最後に5人のマネージャーに選手のみんなにメッセージをお願いすると悩みに悩んで恥ずかしそうに語ってくれた。

「一生懸命な姿がかっこいい!いつも笑顔に癒されます!少しでも長い夏にしてください!」

 

 そこには普段目に見えない温かな選手とマネージャーの関係が感じられた。

[page_break:二人三脚で歩んできた日々]

3年生の野中来夏さんと神山響さん(都立杉並)

二人三脚で歩んできた日々

 3年生・神山 響さんはもともと野球が好きで甲子園をよく見ていたそう。中学時代は茶道部だったが、高校に入ったら野球部のマネージャーをやろうと心に決めて都立杉並に入学した。

「試合に勝った時は本当に嬉しい!特にスコアラーとしてベンチでみんなを近くで応援できる時間はとても楽しいです。」とマネージャーとしての一面をみせてくれた神山さん。しかし、憧れていたマネージャーは全てが上手くいくわけではなかった。「選手とどのように関わるべきか悩み、やめてしまいたいと何度も思いました。それでも先輩が引退し、自分の代になったときに全てを捧げようと決めました」

 神山さんにとって同じく3年生の野中 来夏さんの存在は大きかった。「(神山さんは)絶対やめると思ってました(笑)」と話してくれた野中さん。2人は1つ上に先輩のマネージャーがいなかった分、一緒に過ごす時間は長かった。部活で疲れた帰りには自分たちへのご褒美として一緒に食べ物を買って食べるのが恒例だそう。貴重なオフの日でさえ一緒にお出かけしたりして過ごしてしまうと教えてくれた。

 神山さんはそんな野中さんの存在を「いちばん信頼できる家族のような存在です。隠し事などなく何でも話してしまします」と語った。

 深い絆で結ばれた神山さんと野中さん。選手と共に最高の夏を迎えるためこれからも献身的なサポートを続けていく。

 都立杉並高等学校野球部の皆さん、ありがとうございました!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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