第2回 甲子園優勝投手・小笠原慎之介の成長度を分析2015年08月23日

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【目次】
[1]春での課題がクリアできているか?
[2]U-18では内角ストレートを磨き上げ、変化球で空振りを狙えるか

 7月に小笠原 慎之介投手の春季大会の投球の課題を見出した「ドラフト1位候補・小笠原 慎之介がさらにステップアップするには?」を高校野球ドットコムで掲載したが、今回は、小笠原投手がその後、課題を克服し、夏はどんなパフォーマンスをみせてきたか、また、今月28日に開幕する第27回WBSC U-18ワールドカップへ向けての新たなピッチングの課題をチェックしていきたい。

春での課題がクリアできているか?

小笠原慎之介(東海大相模)[第67回春季関東地区高等学校野球大会 準決勝 対浦和学院]

 夏の神奈川大会のピッチングでは、準々決勝の平塚学園戦で1失点完投するなど、春よりも投球の幅が確実に広がっていた。(試合レポート
その後も小笠原は好投を続け、決勝戦では、横浜相手に完封勝利し、甲子園出場を決める。(試合レポート
今回の第97回全国高等学校野球選手権大会でも、貫禄ある投球でファンを魅了させ、甲子園では見事優勝投手となった。(試合レポート
そんな小笠原の春に出た課題をもう一度振り返ってみよう。

 まず、プロで活躍する左腕投手に共通する5つのスキル(項目)がこれだ。
□一定以上の制球力がある
□一定以上の速球を投げ込める
□絶対的なウイニングショットがある
□しっかりとまとめる投球術がある
□常に安定したパフォーマンスを発揮できる(故障しない)

 上記の中で、春の時点で小笠原が優れていたのは、左腕ながら140キロ中盤投げることが出来る力と、常に安定したパフォーマンスが発揮できることの2つ。
しかし、課題は、絶対的なウイニングショットがないことだった。もう一度、5つのチェックポイントをもとに、小笠原のピッチングを振り返っていこう。

 まず、ストレートのスピードは、春は7~8割の力で投げて、140キロ前半だったのが、夏は145キロ前後を投げ込めるまでレベルアップ。ここぞという場面では150キロ近い速球を投げており、速球能力はドラフト候補に挙がる大学生や社会人の左腕と比較してもトップクラスの力となった。

 また、制球力については、四死球率(四死球×9÷投球イニング)から分析。小笠原は甲子園で25イニングを投げたが、四死球率2.52と1試合で平均2つ出すぐらいで、合格点といえる内容だろう。春先と比べると制球力で苦しむ様子はなくなった。

 さて、小笠原の最大の課題であるウイニングショット。春季大会後、チェンジアップをマスターしたことから、神奈川大会、甲子園ではこの球種を投げて打たせて取ったり、空振りを奪う場面もあり、新たな活路を見出したように思えた。だが抜ける球が多く、まだ完全に自分のモノにできていない様子であった。

 変化球が決まらないと、小笠原は自慢のストレートでねじ伏せに行く傾向は甲子園でもあまり変わらず、140キロ台のストレートが打ち返される場面が目についた。甲子園での投球成績を振り返ると25イニングを投げて20奪三振、被安打21と球速のわりに空振りを奪うことができていなかった。
それでも地道に変化球を決め球として磨き上げるしかない。

 だが大きな故障もなく、安定したパフォーマンスを発揮する点では、文句なしの投手だ。体調管理も高校生とは思えないほど、徹底した取り組みをみせ、人一倍ストレッチに時間をかけたり、脂分を摂り過ぎないように揚げ物は必ず衣を取るなど、自己コントロールが出来る投手だった。
夏の投球を見ても、自分にとって何が課題なのかを考えて投げているのが伝わり、プロ入り後も一軍で活躍できる要素を十分に兼ね備えている能力も垣間見えた。

注目記事
・第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ特設ページ
・【8月特集】打撃力アップ
・2015年秋季大会特設ページ

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東海大相模 【高校別データ】

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プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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