Column

花巻東(岩手)編「菊池、大谷、千葉などバラエティに富んだ逸材を輩出する花巻東のつながり!」

2015.08.04


菊池 雄星(左)、高校時代の大谷 翔平(中)と岸里 亮佑(右)

 菊池 雄星大谷 翔平とスケール感あふれる逸材を輩出した花巻東。全国を代表する強豪校へ成長した過程を振り返りつつ、卒業生を紹介します!

2009年から始まった花巻東の黄金時代

 今や強豪県と呼ばれるようになった岩手県を押し上げたのは花巻東の躍進が大きいだろう。花巻東を率いる佐々木 洋監督は国士舘大出身。横浜隼人でコーチを務め、その後、2002年に花巻東の監督に就任した。そこから2005年に監督として初めて甲子園に出場するが、樟南に4対13で敗れる。2007年にも選手権に出場するが、新潟明訓に0対1で敗れ、勝利を逃す。

 だがその中で、佐々木監督は技術指導の前に準備、取り組み面を重視するという指導を行い、チームを着々と強化していた。そして花巻東が日の目を見るようになったのは2009年だった。この春花巻東は左腕・菊池 雄星の活躍により選抜準優勝を果たすと、2009年選手権ではベスト4入りし、大躍進を遂げる。

 この秋、エースの菊池は6球団の競合の末、埼玉西武入り。これほどの逸材はもう出てこないと思われたが、菊池と入れ替わりで入学したのが大谷 翔平だった。大谷とバッテリーを組んだ佐々木 隆貴によると、当時は細かったようだが大谷は地道な体作りで徐々に才能を開花させ、3年選抜には、大阪桐蔭戦(試合レポート)で藤浪 晋太郎から本塁打を放ち、3年夏には最速160キロを計測。夏は甲子園出場を果たすことができなかったが、8月末に開催された第25回IBAF 18U世界野球選手権大会に出場し、主に4番打者として活躍した。

 大谷はMLB志望を打ち出していたが、北海道日本ハムファイターズのみが大谷を指名し、必死の交渉の末、大谷は入団。現在球界を代表する選手になっているのはご存知の通りだ。

 その後花巻東2013年選手権ベスト4入り、そして今年の夏も甲子園出場を決め、2年周期で甲子園出場を果たしている。花巻東は菊池、大谷をはじめとして、今年のエース・高橋 樹也も最速145キロを誇る左腕であり、スケールある投手を育て上げているが、こういう投手を育てあげることができるのは目標を高く掲げ、その実現に向けて取り組ませているからだろう。

 大谷は、菊池を超えるために入学当時から160キロを目指していた。目標を高く掲げないと、追いつけないと考えていたからだ。自分はどんな選手になりたいのか、そのためには何をしなければならないのか。それがしっかりと根付いている。また菊池、大谷だけではなく、2013年、粘り打ちで話題になった千葉 翔太のような選手も輩出しており、個性的な選手を育成するのが花巻東の魅力でもある。この指針を失わない限り、花巻東は多くの逸材を生み出し続けるに違いない。


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近年の卒業生

 ここで近年の卒業生を紹介していきたい。振り返ると大谷の代から次のステージでも活躍する選手が多くなり、花巻東が軌道に乗ってきた代と言えるだろう。思えば、菊池世代の活躍を見て入学を決めた選手たちだ。今では当時と比べれば選手の力量の水準はかなり上がっており、今後が楽しみだ。

■2010年卒
菊池 雄星(埼玉西武ライオンズ)
猿川 拓朗(東海大–日立製作所)
千葉 祐輔(国士舘大–ヤマハ

■2011年卒
佐々木 大樹(東海大–室蘭シャークス)

■2013年卒
大谷 翔平(北海道日本ハムファイターズ)
佐々木 毅(神奈川大)
小原 大樹(慶応大)
山根 大幸(東海大北海道)
太田 知将(東海大)
大澤 永貴筑波大
佐々木 隆貴日本大

■2014年卒
岸里 亮佑(北海道日本ハムファイターズ)
千葉 翔太日本大
中里 優介(トヨタ自動車東日本)
泉澤 直樹(神奈川大)

■2015年卒
茂木 和大(国学院大)
太田 亮佑立教大

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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