【三年生座談会】県立日立第一高等学校(茨城)【後編】
前編では塙 拓大主将、赤津 健太郎選手、渡辺 文弥選手、山舘 慧汰選手の4人に新チームスタート時から夏の大会までを振り返っていただいたが、後編では日立一の3年間はどんなことにこだわって日々、練習に取り組んできたのか。そして後輩たちへ伝えたいこと、自分にとって高校野球はどんなものだったかを教えて頂きました。
左から塙 拓大主将、赤津 健太郎選手、渡辺 文弥選手、山舘 慧汰選手(日立第一高等学校)
限られた環境で「自分にできること」を考えつづけた
山舘 慧汰選手(日立第一高等学校)
――普段の練習では他部活との共用グラウンドで、内野ぐらいの広さでしか使えない時もあるとのことですが、限られた環境で無駄にしないために日々、どんな思いで練習をしていましたか。
塙 やっぱり私学とかは、専用のグラウンドがあって、外野も使えると思いますけど、自分たちは毎日他の部と共有してやっているので、できない環境にあるのですけど、それを言い訳にしてやっているようでは勝てないと監督の中山先生から言われていました。だから環境のせいにはしないことは心掛けていました。限られた環境の中でどのようにしてやるのかを考えてやっていました。
赤津 僕は投手で、ベンチがほとんどでしたができるだけ準備はしっかりとしていました。打撃練習の時、投手は野手とは違ってトレーニングする時間があって、メニューも自由なのですが、その分、責任が生じます。中山監督から試合の8割は投手で決めるといわれていますし、マウンドを任される責任の重さがある。自分の投球が試合を左右するんだという思いで一日の練習を無駄にしないというのを心掛けていました。
渡辺 冬の練習の時に選手の理想像を一人ひとりが決めるのですが、目標を達成するには何をすればよいのか、考えていきました。
山舘 私学と違って、専用の球場はないのですが、いろいろな方に多くのことを教わることができました。僕は恵まれた環境で出来ると思いながらやっていました。
限られた環境の中でも、環境のせいにしない。自分たちはどんな選手になっていきたいのか、それを考えてしっかりと取り組んでいたのだ。
日立一の3年間はかけがえのない時間
練習に取り組む選手たち(日立第一高等学校)
――そして夏の大会が終わって後輩たちに伝えておきたいことは?
塙 悔いを残さないようにということですね。僕は甲子園にいけなかった悔しさはありますが、自分たちがやってきたことに悔いを残すことなく終えることができて良かったです。
赤津 準優勝したことで、後輩たちも期待されると思うんですけど、僕たちの場合、一戦一戦を大事に戦っていたからこそ夏の準優勝につながったと思いますし、彼らには足をすくわれないように一戦一戦を大事に戦ってもらいたいと思います。
渡辺 結果が出ない時もあるんですけど、自分はどういう選手になりたいのかを見失わずに取り組んでほしいと思います。
山舘 僕はあまり試合には出られず、一塁コーチャーが中心でした。でも選手一人ひとりにそれぞれの役割がありますので、任された役割をしっかりと全うしてほしいと思います。僕らの代はそれができたと思います。
――では最後に、高校野球は自分たちにとってどんなものでしたか?
塙 結果としては準優勝でしたけど、結果が出るまでに、つらいことであったり、やりたくない嫌な練習もたくさんやってきました。それも仲間と一緒に乗り越えてきて、準優勝につながった。この経験は今後の人生につながるものだと思います。
赤津 先輩たちから2年間半はあっという間だよと言われていて、現役当時はあまりピンときていなかったのですが、実際に終わってみて、先輩たちが言いたかったのは本当だなと思いました。仲間たちと過ごした2年半はとてもかけがえのない時間で、一日一日を大切にできたなと思いました。だからこそ、こういう結果になったと思います。
渡辺 この2年半は自分にとってかなり濃い時間を過ごすことができました。この学校でやれて本当によかったと思います。
山舘 高校野球は注目されるスポーツだということが改めて分かりました。最初の頃はあまり分からなかったのですが、最後の夏は勝ち上がったというのもあるんですけど、勝ち進むごとにいろいろな方が見てくれて応援していただき、自分にとって励みになりました。決勝まで試合ができたのは本当に幸せだったと思います。
なかなか勝てない中でも、結果にこだわりすぎず、過程を大事にして自分がやるべきことを1つずつ積み重ね、夏準優勝を勝ち取った日立一の選手たち経験は大きなものになっていくだろう。積み重ねの大事さを知った彼らは次のステージでもこの夏のように粘り強く活躍できるはずだ。