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第95回全国高等学校野球選手権記念鹿児島大会 展望

2013.06.25

 第95回全国高校野球選手権記念鹿児島大会の抽選会が鹿児島市の鶴丸高校で行われた。今大会の出場校は串良商・有明・南大隅、開陽・修学館の連合チームを含む79チーム82校。各ブロックから有力チーム、有力選手を紹介していきたい。

あるか?春夏連続「大隅から甲子園」

第95回全国高等学校野球選手権記念鹿児島大会 展望 | 高校野球ドットコム

▲二木康太(鹿児島情報)

 この夏の鹿児島大会の大きな特徴は、絶対的な優勝候補本命の不在である。一昨年は鹿児島実、昨年は神村学園と、その年の実績から文句なしの第1シードに挙げられるチームがあった。この1年を振り返ると昨秋鹿児島情報センバツ出場は尚志館今春鹿屋中央NHK旗鹿児島実と主要な県大会の優勝校、甲子園代表校の顔ぶれが全て変わった。

 シードを決める投票では、例年第1シードは6、70票集めて決まることが多い中、今年の第1シードは鹿児島情報28票、鹿児島実20票、尚志館20票と票が割れ、第2シードは鹿児島実33票、尚志館32票とわずか1票差だった。本命不在を物語る象徴である。

 尚志館センバツに出場したことが刺激になり、鹿屋中央鹿屋工といった大隅勢がシードを勝ち取るほどの力をつけ、春夏連続「大隅から甲子園」を目指す。第1シードをとった鹿児島情報も、大隅勢同様、鹿児島に新風を吹き込む最右翼である。このほかにも「次は我々が!」と牙を研ぐチームが点在しており、シード校といえども気の抜けない戦いになることは間違いない。

 一方の鹿児島実樟南は昨秋、今春と不本意な成績に甘んじてきたが、5月のNHK旗で決勝(2013年5月31日)を戦い、伝統校健在なりを印象付けた。3連覇を目指す神村学園も虎視眈々と巻き返しを狙う。大隅勢を中心とする新興勢力が「地殻変動」を起こすのか、それとも鹿児島実樟南神村学園といった伝統校、強豪校が意地をみせるのか、大きな見どころの一つに挙げられる。以下、組み合わせ表のパートごとに見どころを紹介する。

[page_break:鹿児島情報・神村学園ブロック]

鹿児島情報・神村学園ブロック

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▲豊田湧也(神村学園)

 鹿児島情報は大会屈指の好右腕・二木康太(3年)を擁し、投手を中心とした堅守というクラシカルな野球が持ち味。初の栄冠を手にできるかどうかのカギは、二木をサポートする2番手投手の成長と、打線の向上だろう。

今春はベスト16(2013年4月4日)NHK旗は初戦敗退(2013年5月25日)と振るわなかった神村学園だが、左腕・豊田湧也(3年)が復調し、調子を上げている。九州無敗を誇った前チームからの「遺伝子」を継承し3連覇に挑む。

鹿児島情報鹿児島城西種子島神村学園鹿児島商志学館の勝者と対戦する初戦は大きなヤマ場になりそう。これを脅かしそうなのは鹿屋武岡台喜界薩摩中央あたりか。好投手・下吉智陽(3年)を擁する鹿児島高専鶴丸は2回戦屈指の好カードだ。

樟南・鹿屋中央ブロック

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▲緒方壮助(樟南)

 樟南鹿屋中央のシード2校がやや抜けている印象がある。

樟南今田典志(3年)、緒方壮助(3年)の中軸が勝負強さを発揮し、打線につながりが出てきた。

春を制した鹿屋中央は、投打ともに高いレベルでまとまっており、鹿児島を制する潜在力は十分に持っている。

今春NHK旗と調子を上げているのは鹿児島工れいめいだ。鹿児島工はエース・小園孝太(3年)に安定感が出てきた。並松尚輝(3年)、尾堂将視(3年)の2本柱を擁するれいめいもシードクラスの実力はある。徳之島出水中央戦は1回戦の好カードに挙げられる。

 
 

[page_break:尚志館・鹿屋工ブロック]

尚志館・鹿屋工ブロック

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▲今吉康平(尚志館)

 センバツで大きくブレイクした尚志館だが、その後九州大会NHK旗と苦しい戦いが続いた。センバツで得た「達成感」を消化し、心機一転夏に挑む体制を整えたい。強力打線をベースに快進撃を続けたチームの真価が問われる夏になる。

今春NHK旗と連続4強入りで鹿屋工の存在が一気にクローズアップされた。村山隆磨小能侑也ら経験豊富な3年生を中心に、夏の頂点の射程内まで上がってきた。

春22年ぶりの4強入りを果たした大島(2013年4月5日)は、看板の強力打線に迫力がある。「離島から甲子園」の「ジャパニーズドリーム」の期待も高い。

伊集院枕崎の南薩対決、明桜館屋久島は好カード。甲南鹿児島玉龍には進学校の奮起を期待したい。

加治木工・鹿児島実ブロック

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▲横田慎太郎(鹿児島実)

 第2シード・鹿児島実がやや抜けているが、第7シード・加治木工をはじめ、公立校の有力校がひしめく激戦区だ。

鹿児島実福永泰志(3年)、横田慎太郎(3年)を軸に、NHK旗で念願の県タイトルを獲って勢いに乗る。(2013年5月31日)
 課題の投手力は福永をリリーフで使うことで計算ができるようになった。下位打線がつながり出すと、3年ぶりの王座奪還がみえてくる。

 加治木工は2番手投手の田元大樹(3年)の成長が好材料。派手さはないが安定感のある戦いぶりに定評がある。

春8強の国分中央は、機動力を生かした攻撃野球が持ち味。

昨秋の開幕ゲームで対戦した池田松陽志布志出水は白熱した好ゲームが期待できそう。川内商工鹿児島南加世田川内と力のあるチームの戦いぶりにも注目したい。

(文=政 純一郎

第95回全国高等学校野球選手権記念鹿児島大会 開催概要

第95回鹿児島大会 組み合わせはこちら(鹿児島県高野連HP PDF)
7月6日~7月23日 参加校数:82
決勝球場:[stadium]鹿児島県立鴨池野球場[/stadium]
その他の球場:[stadium]鴨池市民球場[/stadium]

昨夏代表:神村学園(第94回鹿児島大会結果)
昨秋優勝:鹿児島情報(秋季鹿児島県大会結果)
選抜出場:尚志館(秋季九州大会結果)
今春優勝:鹿屋中央(春季鹿児島県大会結果) (春季九州大会結果)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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