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第96回全国高等学校野球選手権埼玉大会 展望

2014.06.25

第96回全国高等学校野球選手権埼玉大会 展望 | 高校野球ドットコム

初戦から好カード目白押し!激戦の埼玉を勝ち抜くのは?

 7月9日に開幕する第96回埼玉大会。今年の埼玉は全体的に力が拮抗している。3年連続夏の甲子園出場を目指す浦和学院県準優勝聖望学園昨年関東大会出場の市立川越など強豪校が虎視眈々と頂点を狙う。

 また今年の埼玉大会の特徴が、ノーシードでも実績のある強豪が多いことだ。昨秋関東大会出場花咲徳栄がノーシードで開幕戦で登場。昨秋、浦和学院を破った本庄第一、昨夏準優勝の川越東も、ノーシードとなっており、地区予選敗退のチームの中にも夏の躍進が期待できる学校が数多く、1回戦から見逃せないカードが多い。

 今年の激戦を勝ち抜くのは何処の学校になるか、ブロック別に注目校を挙げていきたい。

浦和学院・桶川ブロック

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▲小島和哉(浦和学院)

 秋県大会敗退に終わった浦和学院は厳しい冬を乗り越え、試合中で闘志をむき出しにし、粘り強く勝ち進むチームへと変貌。そして見事、春県大会優勝を果たし成長の跡をみせた。

 エース小島 和哉(3年)はコンスタントに140キロ台を計測するまでになり、キレのあるスライダー、カーブ、カットボール、チェンジアップの4球種を織り交ぜた投球をしている。昨年よりレベルアップした姿を見せ、さらに打ち崩しにくい投手へと成長している。

 野手ではクリーンナップを打つ3人がカギを握る。左右に打ち分けるバットコントロールの良さと、軽快な遊撃守備が光る津田 翔希(2年)、強肩捕手・田畑 瑛仁(3年)、勝負強さが光る強打者・山崎 滉太(2年)に注目したい。

 本庄第一を破り、ベスト4の大宮東にも2対3で接戦を演じたDシードの西武文理。好投手・斉藤 峻(3年)擁する狭山ヶ丘、捕手と投手を兼任する大型選手・大谷 昌義(3年)擁する大宮北聖望学園と接戦を繰り広げたCシード桶川、強打の捕手・冨澤 晃樹(3年)を中心に打ち勝つ所沢商などしぶといチームが集まるブロックだ。

[page_break:市立川越・川越工ブロック/聖望学園・春日部共栄ブロック]

市立川越・川越工ブロック

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▲上條将希(市立川越)

 今春ベスト4市立川越は、浦和学院小島 和哉(3年)に並ぶ好投手と評される最速143キロ左腕・上條 将希(3年)がいるが、その上條が左肩を痛め、春季大会序盤は調整が出遅れた事で、登坂 航大(2年)などの下級生投手にも経験を積ませてきた。

 上條は準決勝(試合記事:2014年05月03日)の浦和学院戦で好投。徐々に調子が上がってきた。野手では長打力のある冨岡 弥夏(3年)、好打者・奈良 龍之介(3年)の2人を中心に点を積み重ねる。投打ともに昨秋よりレベルアップを見せており、優勝候補に入るチームになりそうだ。だがこのブロック、ノーシードの強豪が多く、熾烈なブロックになりそうだ。

 ノーシードの富士見は地区予選で川越東と接戦を演じるなど、要警戒のチームだ。4番に座る遊撃手・小山 倭誠(3年)、6番だが、昨年1年生ながら本塁打を放った三塁・橋本 秀一(2年)の2人に注目だ。

 右の本格派・桐ケ窪 一哉(3年)を擁する坂戸西昨秋の県大会準々決勝(試合記事:2013年10月03日)、春日部共栄に接戦を演じたDシード・松山、好投手・坂本 健太(3年)、強打の遊撃手・太田 賢吾(3年)擁する川越工などにも注目したいところだ。

 またノーシードの浦和実も選手の技量の高さはシード校に負けていない。左の好投手・横溝 克典(3年)、将来性高い右の本格派・南雲 郁弥(2年)の二枚看板に、打線では長打力のある高橋 拓巳(3年)、俊足巧打の外野手・皆川 浩太(3年)、攻守のキーマン・小暮 翔馬(3年)など魅力ある選手が多い。

聖望学園・春日部共栄ブロック

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▲守屋元気(春日部共栄)

 ここもノーシードでも強豪校が出揃い熾烈なブロックになりそうだ。Aシードの聖望学園は打たせて取る投球が持ち味の中村 碧聖、強打者・田島 匠(2年)を中心にコツコツと点を積み重ね、逃げ切りを図るチームだ。

 同ブロックには常時130キロ後半の速球、キレのあるスライダーを投げ込む坂井 秀斗(3年)擁する立教新座がおり、こちらも注目だ。
開幕戦で登場する花咲徳栄では強肩捕手・高杯 翼(3年)が気になるところ。対する新鋭・山村国際も見逃せない存在だ。Dブロックの市立川口は黒川を中心に破壊力ある打線が魅力。初戦で対戦する越ヶ谷は本格派右腕・鈴木 友也(3年)擁する好チームだ。

 Dシードとなった大宮南地区予選で、好投手擁する立教新座(試合記事:2014年04月17日)を破った好チーム。試合序盤は抑えこまれていたが、6回表に3点を入れて逆転。その後は同点に追いついかれて、延長戦となったが、10回表に勝ち越し、試合を制した。打線のキーマンは長打力、選球眼に長けた清水 良祐(3年)。140キロ近いストレートに対してもしっかりとボールを見極め、長打に出来る打撃力がウリの左打者だ。

 ノーシードで強打の捕手・長野 創太(3年)擁する川越東、躍動感あるフォームから球威ある直球を投げる左腕・三好 隆泰(3年)擁する川越西が初戦で激突することになり、興味深い対決になりそうだ。
Cシードの春日部共栄は投打ともに選手が揃っている。投手陣は制球力で勝負する左腕・金子 大地(3年)、130キロ後半を計測する右腕・西尾 洸樹(3年)、キレのあるスライダーを武器にする千葉 剛(3年)と層が厚く、野手では浦和学院戦で本塁打を放った強肩強打・守屋 元気(3年)、小島から適時打を放った左の強打者・原田 寛樹(3年)、両打ちの好打者・小林 慎太郎(3年)が中心だ。この春は浦和学院に3対9と悔しい敗戦だったので、この敗戦をきっかけに、夏までに大きく成長した姿を見せられるか注目していきたい。

[page_break:大宮東・所沢ブロック]

大宮東・所沢ブロック

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▲堀拓郎(大宮東)

 ベスト4入りした大宮東は常時130キロ台を計測する好左腕・中田 浩貴(3年)、強打の捕手・堀 拓郎(3年)を中心に県大会を勝ち進んだ。攻守ともにまとまった好チーだが、チーム全体で更なる底上げが出来ると、この夏も上位進出が期待できるだろう。

 同ブロックでは、好打者・小熊 隼人(2年)を軸に打線がウリの山村学園と強豪・春日部東が対戦するという好カードになり、見逃せない一戦だ。伝統的に強力打線を作り上げる武南、しぶとい野球で勝ち上がるDシード・上尾、そしてDシードの越谷南は昨秋4強の本庄第一と対戦する。本庄第一は技巧派右腕・上田 禎礎、正捕手・村田 敏彦を中心に守り勝つチームだ。また上尾埼玉栄などの強豪を破ったCシードの所沢はチーム力で勝負。我慢強く、簡単に点を与えず、小さなチャンスをモノにして、県大会ベスト8まで進出した。夏まで個人の力を伸ばし、上位進出を目指す。また同ブロックには長身から角度ある130キロ台の直球を投げ込む本格派右腕・武藤 直也(2年)擁する不動岡にも注目したい。

 今年は例年以上につぶし合いが多く、1回戦から見逃せない戦いが多い。厳しい戦いを乗り越え、大会中に大きく成長したチームが夏の埼玉の頂点を勝ち取るだろう。

(文=河嶋 宗一

第96回全国高等学校野球選手権埼玉大会 開催概要

組み合わせはこちら(埼玉県高野連HP PDF)
7月9日~7月27日 参加校数:156
決勝球場:[stadium]県営大宮公園野球場[/stadium]
その他の球場:[stadium]さいたま市営大宮球場[/stadium]、[stadium]上尾市民球場[/stadium]、[stadium]さいたま市営浦和球場[/stadium]、[stadium]川越初雁球場[/stadium]、[stadium]熊谷公園球場[/stadium]
[stadium]越谷市民球場[/stadium]、[stadium]朝霞市営球場[/stadium]、[stadium]川口市営球場[/stadium]、[stadium]所沢航空公園球場[/stadium]

昨夏代表:浦和学院第95回埼玉大会結果
昨秋優勝:花咲徳栄秋季埼玉県大会結果) (秋季関東大会結果
今春優勝:浦和学院春季埼玉県大会結果) (春季関東大会結果

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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