第96回全国高等学校野球選手権埼玉大会 展望
初戦から好カード目白押し!激戦の埼玉を勝ち抜くのは?
7月9日に開幕する第96回埼玉大会。今年の埼玉は全体的に力が拮抗している。3年連続夏の甲子園出場を目指す浦和学院、県準優勝の聖望学園、昨年関東大会出場の市立川越など強豪校が虎視眈々と頂点を狙う。
また今年の埼玉大会の特徴が、ノーシードでも実績のある強豪が多いことだ。昨秋関東大会出場の花咲徳栄がノーシードで開幕戦で登場。昨秋、浦和学院を破った本庄第一、昨夏準優勝の川越東も、ノーシードとなっており、地区予選敗退のチームの中にも夏の躍進が期待できる学校が数多く、1回戦から見逃せないカードが多い。
今年の激戦を勝ち抜くのは何処の学校になるか、ブロック別に注目校を挙げていきたい。
浦和学院・桶川ブロック
▲小島和哉(浦和学院)
秋県大会敗退に終わった浦和学院は厳しい冬を乗り越え、試合中で闘志をむき出しにし、粘り強く勝ち進むチームへと変貌。そして見事、春県大会優勝を果たし成長の跡をみせた。
エース小島 和哉(3年)はコンスタントに140キロ台を計測するまでになり、キレのあるスライダー、カーブ、カットボール、チェンジアップの4球種を織り交ぜた投球をしている。昨年よりレベルアップした姿を見せ、さらに打ち崩しにくい投手へと成長している。
野手ではクリーンナップを打つ3人がカギを握る。左右に打ち分けるバットコントロールの良さと、軽快な遊撃守備が光る津田 翔希(2年)、強肩捕手・田畑 瑛仁(3年)、勝負強さが光る強打者・山崎 滉太(2年)に注目したい。
本庄第一を破り、ベスト4の大宮東にも2対3で接戦を演じたDシードの西武文理。好投手・斉藤 峻(3年)擁する狭山ヶ丘、捕手と投手を兼任する大型選手・大谷 昌義(3年)擁する大宮北、聖望学園と接戦を繰り広げたCシード桶川、強打の捕手・冨澤 晃樹(3年)を中心に打ち勝つ所沢商などしぶといチームが集まるブロックだ。
市立川越・川越工ブロック
▲上條将希(市立川越)
今春ベスト4の市立川越は、浦和学院の小島 和哉(3年)に並ぶ好投手と評される最速143キロ左腕・上條 将希(3年)がいるが、その上條が左肩を痛め、春季大会序盤は調整が出遅れた事で、登坂 航大(2年)などの下級生投手にも経験を積ませてきた。
上條は準決勝(試合記事:2014年05月03日)の浦和学院戦で好投。徐々に調子が上がってきた。野手では長打力のある冨岡 弥夏(3年)、好打者・奈良 龍之介(3年)の2人を中心に点を積み重ねる。投打ともに昨秋よりレベルアップを見せており、優勝候補に入るチームになりそうだ。だがこのブロック、ノーシードの強豪が多く、熾烈なブロックになりそうだ。
ノーシードの富士見は地区予選で川越東と接戦を演じるなど、要警戒のチームだ。4番に座る遊撃手・小山 倭誠(3年)、6番だが、昨年1年生ながら本塁打を放った三塁・橋本 秀一(2年)の2人に注目だ。
右の本格派・桐ケ窪 一哉(3年)を擁する坂戸西、昨秋の県大会準々決勝(試合記事:2013年10月03日)、春日部共栄に接戦を演じたDシード・松山、好投手・坂本 健太(3年)、強打の遊撃手・太田 賢吾(3年)擁する川越工などにも注目したいところだ。
またノーシードの浦和実も選手の技量の高さはシード校に負けていない。左の好投手・横溝 克典(3年)、将来性高い右の本格派・南雲 郁弥(2年)の二枚看板に、打線では長打力のある高橋 拓巳(3年)、俊足巧打の外野手・皆川 浩太(3年)、攻守のキーマン・小暮 翔馬(3年)など魅力ある選手が多い。
聖望学園・春日部共栄ブロック
▲守屋元気(春日部共栄)
ここもノーシードでも強豪校が出揃い熾烈なブロックになりそうだ。Aシードの聖望学園は打たせて取る投球が持ち味の中村 碧聖、強打者・田島 匠(2年)を中心にコツコツと点を積み重ね、逃げ切りを図るチームだ。
同ブロックには常時130キロ後半の速球、キレのあるスライダーを投げ込む坂井 秀斗(3年)擁する立教新座がおり、こちらも注目だ。
開幕戦で登場する花咲徳栄では強肩捕手・高杯 翼(3年)が気になるところ。対する新鋭・山村国際も見逃せない存在だ。Dブロックの市立川口は黒川を中心に破壊力ある打線が魅力。初戦で対戦する越ヶ谷は本格派右腕・鈴木 友也(3年)擁する好チームだ。
Dシードとなった大宮南は地区予選で、好投手擁する立教新座(試合記事:2014年04月17日)を破った好チーム。試合序盤は抑えこまれていたが、6回表に3点を入れて逆転。その後は同点に追いついかれて、延長戦となったが、10回表に勝ち越し、試合を制した。打線のキーマンは長打力、選球眼に長けた清水 良祐(3年)。140キロ近いストレートに対してもしっかりとボールを見極め、長打に出来る打撃力がウリの左打者だ。
ノーシードで強打の捕手・長野 創太(3年)擁する川越東、躍動感あるフォームから球威ある直球を投げる左腕・三好 隆泰(3年)擁する川越西が初戦で激突することになり、興味深い対決になりそうだ。
Cシードの春日部共栄は投打ともに選手が揃っている。投手陣は制球力で勝負する左腕・金子 大地(3年)、130キロ後半を計測する右腕・西尾 洸樹(3年)、キレのあるスライダーを武器にする千葉 剛(3年)と層が厚く、野手では浦和学院戦で本塁打を放った強肩強打・守屋 元気(3年)、小島から適時打を放った左の強打者・原田 寛樹(3年)、両打ちの好打者・小林 慎太郎(3年)が中心だ。この春は浦和学院に3対9と悔しい敗戦だったので、この敗戦をきっかけに、夏までに大きく成長した姿を見せられるか注目していきたい。
大宮東・所沢ブロック
▲堀拓郎(大宮東)
ベスト4入りした大宮東は常時130キロ台を計測する好左腕・中田 浩貴(3年)、強打の捕手・堀 拓郎(3年)を中心に県大会を勝ち進んだ。攻守ともにまとまった好チーだが、チーム全体で更なる底上げが出来ると、この夏も上位進出が期待できるだろう。
同ブロックでは、好打者・小熊 隼人(2年)を軸に打線がウリの山村学園と強豪・春日部東が対戦するという好カードになり、見逃せない一戦だ。伝統的に強力打線を作り上げる武南、しぶとい野球で勝ち上がるDシード・上尾、そしてDシードの越谷南は昨秋4強の本庄第一と対戦する。本庄第一は技巧派右腕・上田 禎礎、正捕手・村田 敏彦を中心に守り勝つチームだ。また上尾、埼玉栄などの強豪を破ったCシードの所沢はチーム力で勝負。我慢強く、簡単に点を与えず、小さなチャンスをモノにして、県大会ベスト8まで進出した。夏まで個人の力を伸ばし、上位進出を目指す。また同ブロックには長身から角度ある130キロ台の直球を投げ込む本格派右腕・武藤 直也(2年)擁する不動岡にも注目したい。
今年は例年以上につぶし合いが多く、1回戦から見逃せない戦いが多い。厳しい戦いを乗り越え、大会中に大きく成長したチームが夏の埼玉の頂点を勝ち取るだろう。
(文=河嶋 宗一)
第96回全国高等学校野球選手権埼玉大会 開催概要
組み合わせはこちら(埼玉県高野連HP PDF)
7月9日~7月27日 参加校数:156
決勝球場:[stadium]県営大宮公園野球場[/stadium]
その他の球場:[stadium]さいたま市営大宮球場[/stadium]、[stadium]上尾市民球場[/stadium]、[stadium]さいたま市営浦和球場[/stadium]、[stadium]川越初雁球場[/stadium]、[stadium]熊谷公園球場[/stadium]
[stadium]越谷市民球場[/stadium]、[stadium]朝霞市営球場[/stadium]、[stadium]川口市営球場[/stadium]、[stadium]所沢航空公園球場[/stadium]
昨夏代表:浦和学院(第95回埼玉大会結果)
昨秋優勝:花咲徳栄(秋季埼玉県大会結果) (秋季関東大会結果)
今春優勝:浦和学院(春季埼玉県大会結果) (春季関東大会結果)
応援メッセージはこちらよりご覧ください
【高校野球ドットコム編集部】
ドットコムTwitter
ドットコムfacebook