美間 優槻選手 (鳴門工)
寸評
ポテンシャルの高い野手が掘り出すならば、身体能力の高い投手を指名すればいい。近年の広島のドラフトからそう感じさせる。今季大ブレークの堂林翔太(中京大中京)も投手。堂林と同じ年に指名された庄司隼人(常葉橘)、ドラフト2位で指名された鈴木 誠也(二松学舎大付)、そしてドラフト5位から指名された美間 優規。美間については徳島県大会決勝で初めて見させていただいたが、技術的には荒削りでも、それを補うポテンシャルを持っている。打者としてのポテンシャルならば、鈴木 誠也とひけをとらないものを持っているのではないだろうか。二軍でじっくりと漬け込んで育てていきたい選手だ。 (美間の経歴) 彼は去年から投打で高いパフォーマンスを発揮し、徳島を代表する逸材として注目を集めていた。今年は鳴門工、鳴門第一が合併した鳴門渦潮のエースとして夏に臨んだが、決勝戦で涙をのんだ。投手としては140キロ前後の速球を投げ込み、野手としては準決勝で特大本塁打を放った。広島が評価したのは野手としての適性である。私も野手としてプレーさせるべき選手である。 (打撃) まず彼を惹かれたのは打席の雰囲気だ。堂が据わったといっていいだろうか。いかにもスラッガーと感じさせる独特の雰囲気を醸し出している。パフォーマンスだけではなく、これほどの雰囲気があるならば、追いかけて行きたくなるものがある。 打撃内容としてはとにかく長打を打とう、本塁打を打とうという欲が感じられる。 スタンスはスクエアスタンス。グリップを高い位置に置いて背筋を伸ばして構えている。すらっと構え、両目で投手を見ており、バランスの良い筋の良い構えだ。そして威圧感があり、如何にも強打者として雰囲気を感じさせる。投手の足が降りたところから始動を仕掛けていき、足を回しこむように上げて行きながら真っすぐ踏み込んでいく。 トップの動きを見ていくと捕手側方向へ引いていくが、グリップが身体の奥に入りすぎておりインコースの捌きが難しくなる。ヘッドが下から出るような形になっており、ボールの下を捉えて打球を遠くへ飛ばす選手だろう。駆け引きが優れた投手と対戦すると、緩急を使われて翻弄される形となる。 また遠くへ飛ばそう、長打を打とうという色気が出ているのか、腰の開きが早くなってしまい、ジャストミートができない。打球方向は踏み込んだ足はしっかりと踏ん張りを我慢出来ているが、軸足が崩れてしまっており、腰砕けの形となって打っている。だが意外にも変化球で崩されても片手だけで長打にしたようで、捉えた時になんとか食らいつく粘りがある。
更新日時:2012.12.08
将来の可能性
スイングの速さ、打球の速さ、下半身の太さはドラフト候補レベル。こういう選手はアマチュア経由するよりも、やはりプロでみっちりと鍛えるべき選手だろう。 課題としては強引な打撃が多く、プロの投手に対応するには時間がかかる選手だが、打撃についてはほんの少しだけでもいいので、欲を抑えたフルスイングを心掛けることが出来れば、プロでも中距離打者として成長していく予感をさせる。そのさじ加減は難しいが、とにかく大きいのを狙いすぎて開きが早い打撃フォームを改善するだけでも、プロの投手にも順応していくのも早そうだ。 広島は堂林、庄司と時間をかけて育てていっているように、彼も1年目から多くの出場機会を設けて育成していくことになりそうだ。4,5年目に一軍定着ができるか注目していきたい。
更新日時:2012.12.08
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