法兼 駿選手 (高知)

寸評

　旧チームから4番に座る強打者で、2012年度の高知を代表する存在。残念ながら選抜では、横浜高校・柳裕也投手の、低めやコースを丹念に突く絶妙なコントロールの前に、完全に封じ込まれた試合でした。また守っても、打球がまともに捕れる範囲に転がってこないなど、歯がゆい試合だったのではないのでしょうか。 （第一印象） 　下半身が逞しくなって打球が鋭くなったそうですが、選抜では守備でも打撃でも見せ場のないまま終わり、目に見えて大きな成長は感じられません。 （守備・走塁面） 　旧チームでは、一塁や三塁を守っていた守備は、選抜では4番・遊撃手として出場。しかしこの試合では、打球がまともに飛んでこなかったので、遊撃手・法兼の守備力はよくわかりませんでした。元々以前は、キャッチングに危なかっしい部分がありました。しかし打球への一歩目がよく、肩は中々強かったと記憶します。 　一塁までの塁間は、4.15秒前後。高校生としては、それなりの俊足です。新チーム結成以来の183打席で15盗塁を記録、これをプロの規定打席446打席にあてはめると、年間37個ぐらいのペースで走るなど、結構足を使える選手だというのがわかります。強打だけでなく、ある程度走力も兼ね備えているのが、この選手持ち味。 （打撃内容） 　スクエアスタンスで、グリップの高さも平均的。非常にオーソドックスな構えをしている選手です。始動のタイミングも平均的で、ある程度の対応力と長打力を兼ね備えた中距離打者タイプ。勝負強さを売りにする、ポイントゲッターだと言えるのでしょう。 ＜長所＞ 　足を高く引き上げて、ベース側にインステップして踏み込んできます。特に踏み込んだ足元がブレないので、外の球でもキッチリ捌けます。この辺の動きは、以前とあまり変わっていません。 　打撃の準備である「トップ」を作るのは早めで、上からバットを振り下ろしてきます。ただそれほど、インサイドアウトで振りぬくタイプではなく、少し遠回りにしなりを効かせたスイングで、大きな弧を描いて振ってきます。この辺が、ボールを遠くに運べる長打力の源だと考えられます。 　特に足の上げ下げを行う割には、目線のブレが小さいのが好いですね。体の開きも我慢できていますし、軸足にも大きな崩れは感じません。軸を起点に、綺麗に回転できています。 ＜課題＞ 　インステップする分、内角の捌きが窮屈な点が、昨年から変わっていませんでした。トップが浅い欠点も同じで、強い反発力が期待できません。

将来の可能性

　実際筋力などがついて、多少逞しくはなっているのだと思います。しかし技術的には殆ど変わっておらず、課題も改善されていませんでした。そういった意味では、試合を観ても、大きな変化が感じられなかったのは当たり前だったのかもしれません。 　けして柳投手を打てなかったのは偶然ではなく、必然だったはず。少なくてもそう考えなければ、成長はありえません。これから高校を卒業しても、野球を続けて行ける素材でしょう。そう考えるならば、もう少し貪欲に自分の課題に取り組んでも良いのではないのでしょうか？　個人的には、一冬越えても代わり映えしなく見えたのは、とても不満。夏までに、成長した姿をぜひ期待したいと思います。