武藤 亮介選手 (南稜)
寸評
今年の南稜には、MAX141キロを誇る斎藤 純平がいて、この背番号1を付けた 武藤 亮介 がいる。しかし私が確認した花咲徳栄戦では、この二人ではなく背番号11を付けた投手が先発。更に左投手を挟んで、ようやく試合が決してから、この武藤がマウンドが上がることに。どれほど信頼されていないのかなと思ってみたが、なかなかの好投手だった。 (投球内容) ランナーいなくても、セットポジションから投げ込んできます。オーソドックスフォームから、常時130キロ前後~中盤ぐらい。驚くような球威・球速はないが、手元までの球の伸びは悪くない。相手の花咲徳栄打線に左打者が多かったのもあるのだろうが、変化球はチェンジアップとのコンビネーション。ここまで高校生で、チェンジアップを多投してくる投手も珍しい。右打者には、外角低めに切れ込むスライダー、それに緩いカーブなどもある。 投球のテンポがよく、制球やその投球は実にまとまっている。牽制もそれなりに鋭いし、クィックも1.2秒台でまとめられるなど基準レベル。投球に、大きな欠点は見当たらない。ただ右打者には、かなり厳しいところにボールをコントロールできる反面、左打者からはボールが見やすいのだろうか?それほど甘くない球を痛打されたり、チェンジアップの軌道も馴れられてしまい、打者は上手くすくい上げていた。いずれにしても投球センスに優れた、投手らしい投手だった。 (投球フォーム) 投球フォームに力みは感じられず、引き上げた足は地面に向け、少し二塁側に送り込む。そのため見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちるフォークのような球種は扱い難く、スライダー・チェンジアップなどの球種に頼ることになるだろう。ただこの投手で興味深いのは、足を地面に降ろしそうな高さから、実に上手く前に逃がすことができ、着地のタイミングを遅くする粘りが見られる点。これにより、打者からは簡単にタイミングが合わせにくい特徴がある。 グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドへの投げ別けは悪くない。足の甲でも地面を押しつけられているのだが、もう少し長く押しつけられるようになると、もっと粘っこい投球も期待できるだろう。腕の振りには無理がなく、故障などの可能性は低そうだ。 「着地」までの粘りが作れるので、体の「開き」は早すぎることはない。もう少し「球持ち」よく、ボールを前で放せるようになると更に繊細な投球が期待できそうだ。腕は最後までしっかり振れている。「体重移動」も、高校生としては非常に上手い。
更新日時:2011.08.03
将来の可能性
実際左打者から球筋を見極められてしまっていたのは、投球フォームと言うよりもチェンジアップを多投したからだろう。元々チェンジアップと言う球種は、打者のタイミングを狂わせるのが役目であり、それほど空振りを誘う球種ではない。そのためフォークのようにストンと落ちる球種ならば空振りも誘えるかもしれないが、チェンジアップが来るとわかっていれば、打者は意外に対応されてしまうことが多い。あくまでもチェンジアップは、他の球種とのコンビネーションで活かすべき球種であり、けして多投するべき球種とは言い難い。その辺は、彼のチェンジアップのキレの問題よりも、その活かし方の問題であったように思える。 現状は、驚くような球は投げ込まないものの、投手としての総合力は高いと言えるでしょう。中央の強豪・伝統校に進むよりも、地方リーグの名門校に進んで、その技量を高めた方が良さそうです。今後何処まで上積みがあるのかは微妙ですが、球の威力・活かした方を磨けば、大学でもエース格になれる可能性があると思います。今後も何処かで、その勇姿に出会いたいですね。
更新日時:2011.08.03
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