何年か続けて、ドラフト関連の雑誌に関わらせていただいていると、ふと気付くことがある。
「毎年、同じこと言ってるよな、ドラフト候補って。。。」
ホンマ、そうなんです。もちろん、それぞれ個性や表現の仕方は違えど、過去の雑誌をぱらぱら、自分の原稿も含めて、読んでいると、ドラフト候補の言っていることって、そんな変わらない。
要するに、プロ野球選手になるための考え方って、そんな変わらなくて、その領域にいつたどり着くかなのだと思う。
例えば、大学でプロに行けなかった、社会人は、1年目でブレークすると、こんなことを言うんです。
「変化球でカウントを取れるようになった」
「大学の時は、ストレートばっかり投げていました」
「球速にこだわらなくなりました」
このコメント読んで、こう思った人もいるでしょう。
「高校生でもいうよ、そんなこと」
そうなんですよ。結局、そこにいつ気付くか。
もちろん、速い球が投げれるとか、ポテンシャルの違いがあって、プロに行けるいけないはあると思う。けど、プロに行っている人間と同じ球質を持ちながら、プロに行けない人の多くの違いは、気付くのが遅い。つまり、考え方が幼い。
練習に対しての取り組みもそう。
ダッシュ10本を、どう走るか。
指導者の導き方も大事になってくるけど、この10本をどういう意欲で走るか。
日ハムの榊原が大学時代にこんな話をしていました。
「ダッシュの10本、1本でも抜いたら、それが大事なところで出る。しんどいと思って練習をやるのか、上手くなりたいと思って走るかで、全然違ってくると思う」
この言葉は、アマチュア選手には金言といっていい。
榊原という選手は、実に参考になる選手だ。
中京高校3年春に甲子園に出場した榊原は、高校卒業後、三菱自動車岡崎に入社する。ところが、入社して間もなく、親会社のリコール問題で部は活動を休止。榊原は移籍か、辞めるかの決断に迫られた。そして、彼は関西国際大へ入学した。
不運な人生だと思うかもしれないが、この、ほんの短期間、社会人にいたことが榊原にとっては大きかった。
社会人で、多少「大人」になってから、彼は「学生」になったのだ。
大学入学後、規定のために、すぐには公式戦に出られなかったが、その期間を過ぎると、彼は勝ちまくった。なぜなら、ピッチングが大人だったのだ。
カウント2ボール0ストライクで、ストレートを投げるようなピッチャーではなかったのだ。社会人で覚えた、クイック、けん制、フィールディング。それも、そつなくこなした。ライバルだった大阪産業大学・藤田透監督(=当時、現関西大学監督)はこういったものだ。
「大学生のピッチングじゃない」。
榊原のような考え方の領域に行きつくかどうか、早ければ早いほど成長するし、未来は大きく開ける。ストレートが速い「だけ」のピッチャーはなかなかプロに行けなかったり、行ったとしても、活躍ができないのは、そうした「甘さ」が往々にしてある。
ただ、この変化球に対する考え方には、ひとつ、落とし穴がある。特に、優れた変化球を持っていると陥りやすい。
それは、一つの球種に頼ってしまい、総合的な力を伸ばせなくなるということだ。頻繁にみられるがスライダーが抜群に良いが上に、多投してしまう。打たれることを恐れ、スライダーばかり投げて、気が付くと、ストレートが走らなくなってしまうのだ。
ご存じのように、高校野球は一発勝負。「負けられない」戦いが続く。「負けられない」っていう精神性が、本来、高めなければいけない部分をぼかしてしまうのだ。
中学時代から有名で、高校時代からも有名。自分の名を、評価を汚したくないと思えば、勝てる確率の高い方を自ずと選んでしまうもので、その結果、下級生の時、勝ったは良いが上級生になってみると、総合的な力が上がらず、しぼんでしまうケース。結構、いる。
名誉のために、名前はあげないけれども。
ここにも気付けると、選手はさらにワンランク上の選手になれる。
ある監督がこんなことを話されていた。
「中学、高校、大学、社会人の練習って、どこも同じようなことをやっているんですよ。そんなに大きく変わらないんですよね。何が違うかって言ったら、考え方。いかに速く気付いて、質の高い練習をするかだと思うんです」。
もちろん、指導者の力も大事になってくる。押しつけまくってばかりいたら、なかなか、自分で考える力は培われない。練習時間が多すぎれば、考える余裕もなくなるし、野球ばっかりなのも、考えに深みが出てこない。
でも、これって、野球に限らず、なんですよ。人生、いかに早く気付くかなのではないかと思うんです。
アルバイト一つでもそう。同じ職種を、20歳でバイトするのと、色々経験して、25歳でバイトするのとでも全然違う。20歳の時は、なんて、段取りの悪いことをしていたんだと思う。一つは経験だし、色んなことを見てきたことで培われる、考え方の違いもあるだろうし。
急には大人になれないからね。せめても、同い年の中での「大人」になれるように。それだけでも、人生、変わるんじゃないか。とそう思います。
考え方次第で、人生は変わっていくのだ!
俺、5年前、こんな記事書いていたんだ、子供だな~~~。
いやいや、今も、数年後からしたら、子供かもしれない。だから、考え方を、もっと広く。生き方をもっと深く。
そんなことを、ドラフト候補の取材から思いました。