東 泰斗選手 (県立岐阜商)

寸評

　昨年の甲子園でも2安打を放っていた選手で、この選抜の花咲徳栄戦（観戦レポート）でも、4打数3安打1四球2打点と大活躍した　東泰斗。県岐阜商の3番打者として、存在感を示した大会となりました。 （第一印象） 　構えた時にビシッ決まっており、打席での高い集中力を感じます。甘い球を逃さない鋭さに加え、緩い球にも対応できる柔らかさも兼ね備えます。 （守備・走塁面） 　選抜では背番号4をつけながら、三塁手として出場。打球への反応が素早く、地肩も基準レベルのものがあります。三塁手としては、かなり動きが良さが目立ちます。ぜひ夏には、二塁手としてのプレーも見てみたいものです。 　正確なタイムは計測できませんでしたが、一塁までの走破タイムは4.45秒前後。これは、左打者としてはかなり遅い部類。ただ明らかなアウトだとわかっていた打球なので、けして大きく緩めたわけではないのでしょうが、参考にはできません。新チーム結成以来の97打席で8盗塁ですから、プロのシーズン規定打席である446打席に換算すると、1シーズン37個のペースで盗塁することになります。この数字は、高校生としては圧倒的な数字ではありません。しかし、盗塁はそれなりにできる選手だとわかります。 （打撃内容） 　スクエアスタンスで、グリップを高めに添えます。腰が据わり、全体のバランスの取れた良い構え。始動が遅すぎるのが気になりますが、狙い球を絞り、その球を逃さない打撃に徹します。 ＜長所＞ 　早めにトップを決め、そこからバットを振り下ろし始動の遅さを補います。スイング軌道に無駄がなく、バットの先端であるヘッドを立てて綺麗に振りぬきます。 　足の上げ下げが小さく、目線がブレません。体の開きも我慢でき、軸足にも粘りを感じます。軸を起点に、綺麗に振り抜けます。 ＜課題＞ 　始動が遅く「間」が取れていないのですが、リストワークや膝の使い方にも柔軟性があり、対応力の低さを感じることはありません。ただアベレージタイプの打者だけに、幾分始動に余裕が欲しいかなと上のレベルを想定すると考えます。

将来の可能性

　速球でも変化球でも、右に左にセンターへとどの方向にも打ち返せる高い技術があります。素材としても、柔らかさと鋭さを兼ね備え、非常に非凡なミート能力があります。守備・走力に図抜けたものはありませんが、基準～それ以上の資質はありそうであり、更に大学などの上のレベルでの活躍も期待される好打者。今後も長い目で、その成長・活躍を見届けて行きたい好選手でした。