大久保 智貴選手 (高島)

寸評

　この夏滋賀県大会で、ベスト8になった時にスタメンマスクを被っていた2年生捕手。背番号18をつけながら、相手の的を絞らせる巧みなインサイドワークとボールを捉える感覚に優れた打撃が目を惹きました。 （ディフェンス面） 　捕手としては、非常に考えられたリードをする選手で、頭の良いです。グラブを投手を示し、ミットも下げないで捕球します。ただ準々決勝の北大津戦では、ワンバウンド処理などのミスが目立ち、キャッチングに課題を残すことを露呈。塁間を2.1秒前後ぐらいのスローイングで投げ込むこみますが、地肩に関しても際立つものはありません。現時点では、あくまでもリードが抜けているといった感じです。 （打撃内容） 　特にスイングが力強いとか、技術的に優れているというのではなく、ボールを捉えるセンスが素晴らしいタイプ。その打球も、右にも左へと対応できる幅広い打撃ができます。しっかりバットの芯で射抜けるので、力を入れなくてもボールは鋭く飛んでゆきます。 ＜構え＞ 　スクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランスは並ですが、両目でしっかり前を見据えられています。特に威圧感や嫌らしさなどは感じさせないのですが、アゴを引いて高い集中力を感じさせます。 ＜始動＞ 　一度ベース側につま先立ちしてから踏み出すので、どうしても始動が遅すぎます。そのため一定レベル以上の球速やキレのある球には、対応し切れない可能性があります。上のレベルの野球を意識するのであれば、この癖を直す必要があると思います。 ＜下半身の動き＞ 　小さく踏み出すだけなので、打てるポイントは限られます。すなわち狙い球を、逃さず叩く「鋭さ」が求められます。ただベース側に踏み込むので、外の球を叩けます。特に踏み込んだ足元がブレないので、打ち損じも少ないものと思われます。 ＜上半身の動き＞ 　少しバットの振り出しが、遠回りなのが気になります。そのためボールを捉えるまでに、ロスを感じますね。外回りに軌道しますが、バットの先端は下がることなく、ドアスイングというほどひどくはありません。ブンと最後まで、しっかり振りきれています。もう少しスイングにも力感や鋭さがあってもと思いますが、そういったことをしなくても打ててしますのは、彼の資質の高さだと言えるでしょう。 ＜軸＞ 　頭の動きは平均的で、体の開きは我慢でき、軸足にも安定感を感じます。そのため大きな波の少ない、安定した打撃ができるのではないのでしょうか。まずは、スイング軌道を修正して、始動を幾分早めること。これにより、より対応力が高まるのではないのでしょうか。

将来の可能性

　特に来年のドラフト候補とか、そういったスケール型ではありません。しかしリードセンスとボールへの対応力には光るものがあります。捕手としては、キャッチングのレベルアップ、打者としても課題は少なくありません。大学などで野球を続けて行ける可能性を秘めているので、ぜひ志しを高く持って取り組んで欲しいですね。意識次第では、来年の滋賀NO.1捕手と呼ばれる日も、そう遠くはないかもしれません。